痔瘻との邂逅 2
会陰部の水膨れを発見して(記事「なれそめ Vol.1参照)、つぶれては、また出来るの繰り返し。軟膏をほぼ毎日塗っていたのに、一向に水膨れがおさまらない。
なんとしつこい皮膚炎なんだろうと思いつつ、鏡でみれば、あるときは干からびたような皮膚になっていて、これだともう治るかなと思いきや、あるときはぷっくりしたような水膨れになっている。これはいったいどんな理屈でこんなに続くんだろう。なにか細菌が住み着いてしまったのか。
皮膚炎のネット検索もしてみても、瘤のようなものなのかな?くらいにしか思えず、医学素人のわたしはぼんやり立ち往生していた日々。それでも、自然に治るくらいの淡い期待はもっていた。
そんなある日、会社の健康診断結果で、会社の専属お医者さんに呼ばれ、前回に続いて、ピロリ菌がいる可能性あり、ピロリ菌退治をススめられた。もしすでに胃が悪くなっていたらと、心配性がむくむくともたげてきて、よし!医者へ行こうと思い、近隣の内科医さんをネットで探した。
ピロリ菌退治は飲み薬を1週間程飲めばいいらしいけど、いやだな~と思ったのは人生初となる内視鏡検査。ピロリ菌退治の薬を処方する前には必須らしい。そこで胃の状態をみるらしい。いまや鼻から入れるらしい。
でも心配性のわたしがピロリ菌を放置することはなく、ネット検索でよさげな内科医さんに行くことにした。そこは肛門も診る先生らしいので、ついでに、この会陰部の出来物も診てもらおうと思ったのでした。
その内科医さんの医院に行った当日、内視鏡検査の予約が終わって診察終了と思いきや、、
私「もうひとつ診てもらいたいところがあるんです。会陰部に出来物みたいのがありまして。。」
先生「ではちょっとみせて」
わたしは診察台に横になり、ズボンと下着をおろして、おみせした。
先生「痔瘻(じろう)ですね」
私「え?」
先生「こう(肛門から)筋ができているでしょ。それが通り道で」
先生はメモにイラストを手書きして説明されたが、要するに、肛門から膿の通り道ができていて、水膨れの箇所から膿が出ている、痔瘻(じろう)という診断だった。
皮膚炎と思っていたのが、まさかの痔瘻。やはり専門に診てもらう方が的確だとあらためて思った次第。
先生「(痔瘻は)手術しないと治らないし、うちでは手術ができないので、紹介しましょう。手術は受けたいときに受ければいいから」と話しはとんとん進み、大阪中央病院肛門外科への紹介状と診察予約を手にして、医院を後にしたのでした。
その帰り道、わたしの頭からは、皮膚炎は去り、代わって、痔瘻という、聞きなれない疾患名がこびりつき始めたのでした。
#痔瘻
術後のケア ~痛みと日薬~
わたしの痔瘻の場合、術前は痛みはまったくなかったので、術後の方が大変でした。
術後当日は痛いです。めっちゃ痛いです。術創部からジンジンしてきます。それはそうです、肛門周辺の一部を切り、肛門の縁を少し切ってから縫い合わせたわけですから。しかも、肛門ってもともと神経過敏な箇所だから。
処方される痛み止めを飲んでも抑えつけることはできない痛みです。その夜は痛みでほぼ眠ることはできませんでした。でも、いまになって自分に言えることは、安心して大丈夫、ということです。
痛みは術創から来ています。術創は一時的でしかも切ってもいい箇所を目的をもって切った傷なので、癒える一方です。看護師さんが「ひぐすり」って言ってましたけど、「え?」って聞き直して、「日薬」。日に日に良くなること。
とはいっても、その場での本人にとっては辛いです。術後当日の夜がピークです、仕方ないです。日薬だから、ピークだと思って、耐えるしかないです。翌日になると少し緩和して、痛み止めあれば少し眠れるようになりました。眠れるようになってからも、早朝が一番痛みました。
その後、日薬が効いて、1週間くらい経てば、もう痛み止めは飲まなくてもいいくらいになりました。そのときは、まさに、ひぐすり、とはよく言ったものだと思いました。
#痔瘻
術後の備品 ~ドーナッツ型クッション ~
術後の術創部は当たると痛いです。程度の差こそあれ、完全に治るまでは当たると痛いか違和感があります。
普通に椅子に座ることが億劫になるので、デスクワークに必須なのが、ドーナッツ型クッションです!
ちなみに、術後のしあわせな座り方は正座です。しびれきれちゃうのが玉にキズですけど、創部が接触しないから最高の座りかたになります。とはいっても、正座で仕事はできない・・・。できたとしても、しびれ切れて動けなくなる・・・。
ドーナッツ型クッション、術後1日目で早速、ネットでポチりました。産後ケアのものが多くて、わたしは男性ですが、使えるだろうと思ってポチッたのですが、届いてみると女性用なので、小さく感じる。
そこで、大事な備品だしと、さらに検索して、男性用と名の打ったものをポチって、届いたら今度はぴったり。おまけに会陰部も当たらないような設計にしてあるので、会陰側に術創がある自分にはまさにピッタリでした。
勢いで、同じものを合計3つポチりました。自室用、職場用、実家帰省時用です。術後仕事がこなせているのも、このドーナッツ型クッションのおかげといっても過言ではないくらいです。
滲出液がほぼ止まったいまも、まだ創部は小さく残っているので、上皮化されて完全に癒えるまでは使い続けると思います。
わたしは術後に買ったのですが、手術を受けられる方は予め買っておくのも手だと思います。術後、すぐにでも使いたがる備品であるためです。
#痔瘻
術後の備品 ~オムツ~
痔瘻手術での術創はあえて開放している部分があります。術創(じゅつそう)、要するに手術で付いた傷です。
ちなみに、わたしはあろうことか、通常見えないところにある術創を、手鏡でみてしまったわけです。好奇心旺盛な性格がこんなところにも影響を及ぼします。なんと、医学を専門としていない素人からすれば、まさにグロテスク。ざっくりえぐりとられたような跡です。この傷が日薬で日に日に癒えていくわけですが、、この経緯は別の記事に譲るとして。
今回は、術後の備品について書いておこうと思います。
開放創は当然ながら皮膚がないわけなので、滲出液が出てきます。この漢字、しんしゅつえき、って最初読めなかったんですけどね。ようするに、肉汁のようなものです。とっても不思議なことなんですが、この開放創は、清潔に保つのが肝心と言われているので、シャワーを当てて洗うことになるのですが(最初は恐怖に近いですが)、痛みや沁みたりがないんですよ!これは実に幸いなことです。
それはさておき、この滲出液の処理が術後のケアのメインになります。通常はくような下着では支障が出ます。滲出液がにじんで、スーツやズボンにまで染みますから。
なので、入院しているときに看護師さんにケアについてよく聞いておくことをおススメします。お医者さんよりは看護師さんの方がじっくり聞けていいです。お医者さんとの限られた診察時間では医学的な見解を聞くのに精いっぱいですから。
わたしが看護師さんに聞いたケアは大きくふたつ。
1、オムツ&パッドを付ける。
2、ボクサーパンツ&生理用ナプキンを付ける。
いずれか、というもの。基本、1のオムツなんですが、吸収力が強い反面、肌が乾燥するので、その場合は生理用ナプキンがいいよと。わたしは男性なので、2の生理用ナプキンは人生初になるわけですが。とりあえず、退院当日付き添ってくれた姉に1と2を買出ししてきたもらったのですが、結局、2ケ月経って、使ったのは1のみでした。
術後、3週間くらいから、滲出液がぐっと減って、ポツポツ程度にしかパッドににじまなくなり、4週間(2ケ月)経って、ほぼなくなったので、外しました。その後、ボクサーパンツのみはいてます。術前はトランクス派だったんですが、まだ術創は完全には癒えていない(上皮化していない)ので、ボクサーパンツ派にこのままなりそうです。
#痔瘻
痔瘻との邂逅 1
2020年ごろからか、正確には覚えていないですが、なんとなく、むずがゆいような感覚が会陰部に感じていたある日、心配性なわりには好奇心旺盛ななわたしは、そこを鏡で映してみたのでした。すると、肛門近くの会陰部に、楕円形の長さ5㎜くらい小さな水膨れのようなものができているではないか!
会陰部は蒸れるし、皮膚炎のようなものが出来てしまったかと少々落ち込んでしまいましたが、やがてつぶれて治るだろうと思ってました。
当時は、コロナ1年目の流行初期の盛りで、連日、在宅勤務が続いていて、運動不足がたたって、蒸れたのかなと。
それから2021年2月末ごろ、風呂上りに会陰部をタオルで拭いたとき、ものすごい掻痒感があって、思いきいり拭いたらつぶれたらしく、タオルに血が付いた、つぶれたんだなと。
それから数日後、ある日の在宅勤務中、突如、会陰部からじんじんと鈍痛が続く。不愉快なので、これはどうなったものかと鏡で映してみれば、5㎜くらいだったはずの水膨れが、2㎝長さくらいのミミズ腫れになっているではないか!
ついに炎症がひどくなったとばかりに、すぐに近隣の医者を探そうと思い立ちながら、一方で、会陰部を見せるのは恥ずかしい、軟膏を塗れば治るんじゃないか、との期待値が上回り、スギ薬局へ向かったのでした。
ネットで調べた軟膏をチョイスし、鏡をみながらミミズ腫れのところに塗って、その日はしのぎました。
翌日も続いたらいよいよ医者かなと心配性のわたしは思いわずらってましたが、なんのことはなく、朝起きたら、腫れは引いたようでした。ほっとしたものの、水膨れはつぶれても、一向に消えてなくならない。つぶれては、また出来るの繰り返し。軟膏を毎日塗ってみても、一向に水膨れは去ってくれなかったのでした。
#痔瘻
手術当日
2022年11月22日、わたしは白い病室のベッドに横たわり、手術室へお呼びがかかるのを待っていました。
手術を受けるんだというどこか他人事のようにすら思っていた感覚は、薄い手術着1枚になってから、自分事として迫ってきてました。
ベッドの傍らには、断食を補う栄養剤をぶら下げた点滴スタンドが私を見下ろし、音もなく流れるチューブが左腕につながってます。
手術予定は昼の12時。それを少し過ぎた辺りだったと記憶してますが、「いま呼ばれたので」という声と共に看護師が来られました。
わたしは看護師の見守る中、ベッドから起き上がり、左腕とつながった点滴スタンドと看護師に寄り添われながら、手術室へと歩いていきました。
そう、わたしは確実に歩けるし、なんなら早歩きだって、走ることさえできるし、痛みさえない。健康そのもののはずで生活にも何ら支障なく暮らせているのですが、肛門の傍に痔瘻が出来ていたのです。
#痔瘻